隣の星の新くん
とんっ
テーブルにオムライスを置くと、颯が匂いを嗅ぎつけて走ってくる
「うまそーっ!!」
ご飯作るのは上手になった
それもこれも颯のおかげかもしれない
自分にだけのために作るなら執着がないから適当に済ますんだけど
人のためとなるとリクエストに応えたり、レパートリーも増える
「たまごふわとろ〜」
前髪をちょんまげにして、にっこにこしながらオムライスを頬張っている
颯には作りがいあるから上達も早いのかな
「あっ、今日はこれな」
颯は机の隅にある青い袋をちらりと見やった
「ありがと」
俺と颯はよく映画を見る
もともと颯は映画が好きで、週に2、3度は借りてくる
見るものも色々でアクションでもサスペンスでもSFでも何でも幅広い
金曜日は恋愛モノの日
俺の嘘から始まった決められた日
「新〜?」
「ん?」
「このままでいいの〜?」
「ん〜…」
「新がしんどくならないならいいけどさ」
「真緒が笑うんだ」
逃げ出してから、初めて真緒に会った日
真緒に嘘を吐いた
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