隣の星の新くん
「なぁ、新くん?」
「ん〜」
横にいる颯に顔を向けると、頬杖をついてこっちをじとーっと見ている
「どうかした?」
「宇宙行ってたろ」
「へ?」
いやいや、颯が言う意味が全くわからない
宇宙とか意味不明な展開に
「いや、ここに居たけど」
俺の答えが颯のツボに入ったのか、けらけら笑い続けている
ひーひー騒いだ後、颯は涙を拭いながら楽しそうにテーブルに顎を乗せた
「新がここに居るのは俺が一番知ってるよ。ぶっ飛んでたろってこと。映画全然観てないだろ?」
「観てた」
「じゃあ出会い方は?」
颯はかなり意地悪で楽しそうな顔してる
絶対Sだ
「すみませんでした」
観てなかったのは本当だし、素直に頭を下げた
「うん、いい子」
にかっと笑うと、俺の頭を軽く撫でた
颯はそのまま、リモコンを手にとり巻き戻す
可愛くて意地悪でいい奴
たくさんの嘘を重ねるこんな最低な人間なのに、颯は友達でいてくれる
ほんと、こんなにいい奴はいないかもしれない
ふわふわしてて、根っから明るくてお調子者な颯は、本当は一番大人なのかもしれない
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