隣の星の新くん



「ごめんなさい」



いつもそう言うしか出来なくて、逃げるようにリビングを飛び出した



芯、言ったことないけど



おばさんと芯はそっくりなの



顔も雰囲気も



芯の部屋に飛び込むと、芯はマンガを読む手を止め顔を上げる



「あれ、飲み物は?」



そう笑う芯の顔がおばさんと重なる



一瞬体がまた強張る



「真緒?」



「ー…あぁ、トイレ行ったら忘れちゃった」



「しょうがない奴」



立ち上がりあたしの頭をくしゃりと撫でた



「俺とってくるから真緒読んでな」



「うん。ごめんね」



芯のいない部屋に、ぺたりと床に座り込む



冷たい床が気持ちいい



何がダメなのかな



好きな人の大切な人は、あたしだって大切にしたい



なのに、何で嫌われたのかな



それから大好きなHARUTOを読んでも頭に入らなくて



何だか悲しくなった








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