隣の星の新くん




朝、ぐーっと伸びをして体をほぐすと、準備をするため布団から這い出る



外は天気予報と違って小雨が舞っている



「うそつき」



昨夜見た天気予報のお姉さんに八つ当たり



颯の分の朝食も用意して、ゆっくり準備をしてから颯の家を出た



颯には話してある



真緒と一緒に"ASH"に向かうこと



颯は快くOKを出してくれた



久しぶりに見る芯の家



昔はあんなに真緒に連れられて行ったのが懐かしくなる



インターホンに向かって指を差し出したと同時に真緒が玄関から顔を覗かせた



「おはよ」



ふにゃりと笑う真緒は昨日の雰囲気を感じさせない



ただ、何かを隠してるような気がしたけど、顔にも声にも出さない真緒を見ると気づかれたくないことなのかもしれない



「芯まだ寝てるの」



困ったようにそう言うと、真緒は行こうかと笑う



「アラタに聞きたいことがあったの。"ASH"ってあの"ASH"だよね?アダルトでダークな雰囲気の路地にある…」



「ぶっ」



真緒の言葉に思わず吹き出してしまった



「なによっ!だって朱里ちゃんがそう言ってたんだもん」



「アダルトでダークって?」



真緒は少し考えるような素振りを見せると、首を傾げてはにかむように顔を赤くした



一体どういう風に聞いたのやら



「うーん…確かに夜は大人っぽい店になるけど、最近は昼も始めたんだって。お昼は行きやすいと思う」



「何でそんなとこ知ってるの?」



「うーん…」



道端で眠気に負けて爆睡してた俺を拾ってくれたのはその"ASH"の店長さん



一時泊めてもらっていた



…なんて、真緒には言えない



またトリプルコンボで痛い思いをしそうだから











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