隣の星の新くん
「どうかした?」
「う〜ん残念なような、嬉しいような…複雑」
「なんだそれ」
妙なお店じゃなくて安心してる反面、危険なお店かもとの期待も大きかったようで、真緒は本当に複雑な顔をしている
それから電車に乗り一駅で降りると、繁華街に出た
夜は酔っ払いやホスト、ちょっとやんちゃな人たちが集まって、危険も多い
昼はご飯屋が多いから学生や奥さま方で賑わって危険は少ない
「お昼間にここ来たの初めてっ!」
興奮しきった真緒は目をキラキラ輝かせてしきりにきょろきょろしている
子犬みたいでかわいい
ついつい頬が緩む
「アラタアラタっ!ここ見たいっ」
きっと尻尾があったら千切れんばかりに振っているだろう真緒は、さっきから興味そそられる店が多いらしく、駅から数百メートルしか歩いてないのに何度もそう言って振り返る
「じゃあ次来たときはそこ行こう」
真緒はそう繰り返される度に、「うんっ」とにっこり笑う
「ここ」
目の前にはビルが並んでいて、地下に続く階段が見える入り口に黒地に白文字で"ASH"と書いてある
一見見過ごしそうな店
店長曰わく、知る人ぞ知る店でいいらしい
「颯は先来てる」
「ハヤテ?」
何故真緒が不思議そうにしてるのかわかる前に店のドアを開いた
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