隣の星の新くん



「タクさん」



「新、颯座らせろ。キャンキャン煩い」



タクさんは困ったように笑うと、席を目で示す



ダークブラウンの髪、少し垂れた優しい目、相も変わらずスーツ姿で細くて黒いネクタイをしめてる



これは夜でも昼でも変わらないタクさん定番のスタイルらしく、店で見る度この格好だった



「来るのはいいが、溜まり場にするなよ」



そう言いながら、来ても拒まないタクさん



俺も颯もタクさんを兄のように慕っている



3人席に着くと、タクさんがメニューを出してくれて、颯は迷わずにオムライスを、俺はドリアを、真緒はパスタを注文した



今日は休日だから、弟のカズくんが手伝ってるようで、顔を見せて挨拶してくれた



真緒と颯は楽しそうに話していて、2人は同じタイプの人間だから気が合うらしい



子犬タイプ



タクさんはちらりと2人を見やると、視線を戻し悪戯な笑みを浮かべた



嫌な予感がする



タクさんがこういう顔をするときは、苛めたくて仕方ないときだ



「新の宝物か」



やっぱり…



ため息を吐くと、タクさんに小突かれた



この人は全てを察しすぎる



バレたくないことまでバレるから嫌なんだ











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