隣の星の新くん




「そういうんじゃないよ。この子は新の」



タクさんの言葉に男の子は驚いたようで、近寄ってくるとまじまじと見られた



アラタのじゃないけど…



「ふーん・・・、新の大事な子か」



大事な子って意味らしい



なら違ってもないかも



あたしもアラタは大事なんだし



「俺、和海。平和の和に海。よろしくね。え〜っと・・・何ちゃん?」



「真緒です。真に下駄の緒の緒で」



「真緒ちゃんね。兄貴はロリコンだから気をつけて」



からかう様にからから笑うと、タクさんは困ったように和海くんを小突いた



「ロリコン・・・・・・、ですか?」



「真緒ちゃんまで・・・」



頭をかきながら、タクさんは苦笑い



諦めたように小さくため息をつくと、



「大切な子がたまたま高校生だっただけだよ」



と目を細めた



それを見るだけで、タクさんはその女の子のことをとても大切に思ってるのが分かる



その女の子はとっても幸せなんだろうな



って必然的に感じた



和やかに過ごしていたのに、タクさんの一言で緩やかな時間は崩れ去った










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