隣の星の新くん
「で、新と何かあった?」
アラタって言葉に心臓が跳ねた
聞かれたくなかったのか、聞かれたかったのかわからない
ただ、タクさんに、和海くんに、この二人になら聞いてほしかったのかもしれない
すごく心配してくれたきょんちゃんには悪いけど、一番に話すつもりがタイミングが悪くて後回しになっちゃったけど
「彼氏がいます。好きなんです」
懺悔に似た気持ちで、あたしはぽつりぽつりと話し始めた
二人にとっては何を話してるかわからなかったかもしれない
整理し切れてない頭の中のモノを、浮かんだ順に口にしたから
それでも二人は時折相槌をいれながら聞いてくれた
「自分の中で決着をつけたはずなのに、アラタが彼女といるのを見たら……苦しくなって」
いつの間にか隣にいた和海くんは、あたしの頬をゆっくり撫でた
いつの間にか涙を零していたらしく、和海くんの指に水滴がついていた
「芯が好きなのに、終わりにしなきゃいけないのに、アラタが困るのに、あたし最低……」
ぽたりぽたりと落ちた涙はスカートに黒い染みを作った
「…アラタ彼女と幸せなのに……、あたし……あた……」
最後はそう喋ったと思う、嗚咽混じりできちんとそう話せたかはわからない
でも、和海くんの手があたしの頭を優しく撫でるから少しは伝わったのかもしれない
「一つ気になるんだけど」
和海くんは撫でてる手を止めると、あたしの顔をのぞき込むようにじっと見つめた
和海くんの少し垂れた優しい瞳にあたしの情けない顔が映る
こんな涙でぐちゃぐちゃの顔を目の前にして、和海くんは引くこともなく優しく微笑んだ
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