隣の星の新くん




顎にトントンと指を当てながら、和海くんは考え込むように宙をみている



「新って彼女いないよ?今まで一度も」



「っ!?」



和海くんの思いがけない一言に、喉がきゅっと締まった



嘘っ!



アラタから直接何度も聞いた



その経緯まで



「でもっでもっ」



慌ててしまって舌が絡まる



「新の大事な子は昔も今も1人だけなんだ、誰かは本人に確認するといい」



「……」



「それに、真緒ちゃんはわからないって言うけど、答えって案外出てるもんだよ」



頭の中がぐちゃぐちゃなまま、タクさんに車で送ってもらった



家の前に着いたとき、車のドアを閉める間際にタクさんはあたしの腕を掴んだ



「駅前のレンタルビデオ屋に行ってみるといいよ。オススメコーナーを見てみるといい」



それだけ言うとタクさんは行ってしまった



いつもほんの短い時間でも必ず会っていたのに、初めてアラタに会わない日だった










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