隣の星の新くん




そこには颯くんがいて、お店のロゴの入ったエプロンをつけている



どうやら働いていたらしく、手には山ほどDVDを持っている



「真緒ちゃんが何で……真緒ちゃん?」



話しかけて、途中であたしの顔に気づいたのか、言葉を止める



きっとあたしの目は腫れてるに違いない



じっと顔を見つめると、颯くんはDVDをレジ奥に積み上げた



「誰かに余計なこと聞いた?って言うのはタクさんぐらいか」



首を傾げながら、ピンで留められた横髪を指で弄る



思わず頷くと、颯くんはあちゃーと言いながら顔をしかめた



やっぱりまずかったんだ



あたしはここに来るべきじゃなかった



アラタが隠したかったことを、こんな形で知るべきじゃなかったんだ



でも知ってしまったものはどうしようもなくて、今さら後戻りもできなくて、あたしは俯くしかなかった



暗く落ち込んだあたしを見て焦ったのか、颯くんは慌ててあたしに近づく



落とした視線の先に、颯くんのか緑と黒のスニーカーの先が見える



「真緒ちゃん泣かないでっ!新は真緒ちゃんが大事だから吐いちゃったんだよ!!意気地なしの新が悪いけど、許したげて!!」



「アラタ意気地なしじゃない…」



「……?……あぁっ!違う違うっ!俺が悪いよね!!泣かないで〜!!!」



更に慌てた颯くんは、もうどうしていいのか分からないらしく、とにかく叫んでる










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