隣の星の新くん




楽しいしけど泣ける



やっぱりアラタ嘘ついてたんだもん



颯くんの感じからすると、守るための嘘っぽい



なら、あたしにしてあげられるのは一つだけ



アラタ離れ



アラタをあたしから解放したげないと



他人になんてなれないから、家族だから何かと構っちゃうだろけど



ちょっとは離れてあげられるはず



もう抱きついたり、飛びついたりしない



あたしは心に堅くアラタ断ちを誓った



「ここじゃ目立つし、ちょっと外出ない?ジュース奢るよ」



そう言うと、颯くんはレジにいた店員さんに声をかけ、あたしの手を引いて外にでた


外にでると、道の脇に小さなスペースがあって、段差があるから腰掛けて少し休むにはうってつけの場所だった



颯くんは、自販機からジュースを2つ取り出すと、あたしにココアを差し出す



「落ち着いた?」



こくりと頷くと、じわりと温かいココアが手に気持ちいい



「新のこと嫌いになった?」



「なるわけない。嫌いになったのはアラタの方だもん」



「真緒ちゃ……「真緒っ!!」」



一番聞きたくて、一番聞きたくない声が聞こえた



と、同時にあたしの足は駆けだしていた



足には自信ある



昔からかけっこには負けたことないし



鬼ごっこでも捕まったことない



遠くで颯くんの呼ぶ声が聞こえた気がしたけど、振り返る余裕がない



風を斬る音が耳を掠めて、額にはじわりと汗が滲む



息があがる












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