隣の星の新くん
「アラタ、あたしのこと嫌いになったんじゃないの?」
「嫌いになったことないけど」
むしろずっと好きなぐらい
嫌いになる方法が知りたいくらいだった
「じゃあ…何で嘘ついていなくなったの?鬱陶しくなったんだって思ってた」
「嘘ついてごめん。あの時はそれしか思いつかなかったんだ」
「嫌いじゃない?」
「もちろん。好きだから嘘ついた」
もっとちゃんと言うつもりだったのに、会話の流れで好きだと言ってしまった
悲しげだった真緒の表情が、晴れた
「よかったぁ」
ほっとしたように、握った手を握り返す
好きは嫌いじゃない好きととったらしい
「出会ったときから真緒は特別だった。それは今でも、これからも変わらないよ」
「特別…」
「うん。ずっとずっと。俺には何も無さすぎて逃げたけど」
「アラタはいっぱい持ってるよ?ずっと羨ましかったぐらい」
俺が?
何も持ってなんかないのに
「優しいし、周りのことよく見てるし、頼りになるし、綺麗だもん。ずっと自慢のアラタだよ」
真緒にそう言われても泣くかと思った
目頭がじんと熱くなる
誰かに誇らしく思ってもらうのは、それを口にしてもらうのは、なんて幸せなんだろう
もう力の限り抱きしめたいくらい
生涯の宝物になるだろう言葉を、想いを貰った
今度は俺が伝える番
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