隣の星の新くん
ひらりひらりと、花びらが風に乗る
ピンク色の絨毯を、躊躇しながら少し早足で進む
辺りには人影はなくて、不安が心に湧き上がる
と、後ろから大きな声で呼び止められた
「真緒っ!!」
振り返ると、遠くから芯がゆっくり近づいてくる
「よぉ、新探してんの?」
「うん。朝からいないんだよね。先に行っちゃったのかなぁ」
芯は頭を掻きながら短く唸ると、顔を上げてにこやかに笑った
「やっぱり?そうだよね。ちょっと行ってみる」
「ははっ、たぶん間違いないよ」
真緒は駆け出すと、芯はからからと笑った
「新学期早々、新は自由だねぇ」
にまにまと一人笑うと、背中から強い衝撃が芯を襲う
「いってぇ~っ、彩夏(さやか)ちゃん、そろそろ手加減覚えましょうね」
振り返ると、にぱっと笑いまた鞄を投げつける
「おあよ~芯ちゃん!いい朝だねぇ」
「ぶっ、ばあさんみてぇ」
「ちょっと!ぴちぴちな女子高生掴まえてそんなこと言うか?」
いや、そういうところが、ばあさんみてぇなんだよ
と、小さな呟きの後にまたも鞄が宙を舞う
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