隣の星の新くん



すっかり秋だ



くん、と鼻をならすと秋独特の香りが肺に広がる



何をするでもなく、ぶらりと授業を抜け出し校庭の隅にある木陰のベンチに仰向けに寝転がり目を閉じた



ほんとはサボリたいけど真緒が怒るから学校には行くようになった



テストさえ受かってればいいような適当な進学校で、何でか要領のいい俺は余裕らしかった



「新〜っ俺、今日はオムライスがいい」



いつの間にやらベンチに顎を乗せているのは颯(はやて)



「………」



「あの、とろっふわっなやつ〜」



色素の薄い猫っ毛が風に揺られて気持ちよさそう



「なぁ、新〜」



「ん〜」



眠い



颯はちゃんと返事しなくても分かってくれるから気にしない



「楽しみだなぁ〜」



上から嬉しそうな声が聞こえてきた



これはオマケにサラダとスープも付けてあげよう



そんなこと考えながら眠りに落ちた













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