。*王子たちの恋姫*゚
「どーしてくれんの?この服高かったんだ」
「…っ」
たかが服を濡らしただけで、女の子を泣かすだなんて。
怒っちゃったからね!
気がついたら、あたしは騒ぎのもとへ歩いていて
彼女の髪の毛を引っ張る桜井裕の手を掴んでいた。
ざわざわしていた周りがまたいっきに静まる。
周りの女子は、いきなり入ってきたあたしに驚きの目を向ける。
桜井裕と王子たちは驚かないで、ただあたしをみていた。
「は、離してあげて…ください」
腕をつかんだ瞬間、我に返ったけど、
その時はもう手遅れで、ただこう言うしかなかった。
…どうしようっ
怒らせちゃった…?
しばらく固まっているあたしをじっとみていた彼は、
何も言わずに彼女から手を離した。
それをみて、あたしも手を離す。
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