。*王子たちの恋姫*゚
さすが白鳥学園だけあって、カフェまでも豪華。
ここの生徒にとってはきっと当たり前なんだろうけど、
所持金300円のあたしにとっては手の届かないような場所。
「何になさいますか?」
席に座って間もない内に、女性の店員さんがオーダーを取りに来る。
「紅茶と、Aセットで」
ちーちゃんがそう言いながら、メニューの文字を指差す。
さっ3000円…!
丸がひとつ多いよ…
でも、他のメニューをみてみると、
このAセットなんてまだ安い方。
一番安いのは、300円のオレンジジュースのミニサイズ。
「そちら様は?」
「あっ。オレンジのミニで」
「はい。少々お待ちを」
なるべくお嬢様らしく言って、ごまかしたつもりだけど…
ちーちゃんは誤魔化せないみたいで。
「結衣、またお金足りないの?言ってくれたらおごったのに」
「あ、えっと、あたしはオレンジジュースがのみたかったんだよ!うん。オレンジジュース!」
「ふふふ。ならいいけど」
わざとらしすぎて、声が裏返った。
ちーちゃんも笑ってる。
…でも、強がっちゃうよ。
ちーちゃんは、あたしが貧乏なの知ってて理解してくれている。
だから、助けてくれようとしてくれる。
素直に助けてもらえばいいのに、強がってしまう。
だから、お金って
嫌いなんだ。
.