。*王子たちの恋姫*゚
「ねえ、ちーちゃん」
「んー?」
運ばれた紅茶を飲んでいるちーちゃんに、思い切って聞いてみる。
「あたし貧乏人なのに、なんで白鳥学園なんかに来たんだと思う?」
「えー?」
ちーちゃんは、きょとんとした目であたしを見てる。
本当は後ろめたかった。
ここにいることが、とても。
「だって、ほら、
あたし明らかに場違いだもん」
他の人から見て、あたしが貧乏かどうかなんて見た目だけでは分からない。
だけど、お金持ちの世界に慣れない自分が
今みたいに時々顔を出すんだ。
「まあ確かに、他にも高校は沢山あるし。何で奨学金を契約してまで白鳥を選んだの?」
確かに他の高校でもよかったのかもしれない。
でも、どうしてかはわからないけど…
「この学園で…恋したかったんだぁ」
あたしが小声でそう言うと、ちーちゃんは目を見開いた。
「え、何、理由ってそれだけ!?」
「うん」
「はぁ?」
はぁ?って…
だって、他に理由なんて見つからない。
そんなあたしをみて、ちーちゃんは笑う。
「やっぱ結衣って変な子だよね。見た目と全然ちがうし」
「変じゃないよー。普通だよっ」
「あ、じゃあさ…」
そう言うと、ちーちゃんはカフェ入り口を指さす。
ちょうど、男子が三人入ってくるところ。
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