隣の男子は秘密のイケメン君

アタシ達がこんな場所にいても追いかけて来る事はなく、それからも二人で話し続けた。



話に夢中になりすぎて他の音なんか耳にも入らない状況だったのに、いきなり後ろから声をかけられびっくりしたアタシ。



「ねぇ、こんな所で何してんの?暇なら俺たちと遊ばない?」



アタシ達がいる後ろの駐車場に車を停めた見知らぬ男二人組。



これがナンパってヤツね。



何気にアタシ、初めてなんですけど…。



「話すだけならいいよ。ね、瑠華」

「え!?」

「アイツらだって一緒の事してんだから、これぐらいいいっしょ」

「う〜ん…そうだね。いっか。話すだけね」



こうして見知らぬ男と話す事になったアタシ達。



初対面だとはいえ、何気に話が面白くて盛り上がってる気がするのはアタシだけ?



真理なんて車から流れるレゲエ調の音楽に合わせて片方の人と一緒に踊っちゃってるし。



その姿を楽しく眺めた。



「瑠華ちゃんだっけ?可愛いね。彼氏いるの?」

「いるよ。今日も一緒に来てるんだけどね。ナンパされて嬉しそうだったから置いてきた」

「じゃあ尚更一緒に遊ばないと。せっかく海来たんだしさ。一緒にサーフィンやろうよ」

「やった事ないもん」

「ボードの上に座ってるだけでいいよ。せっかくだし海入んないと」

「そうだね。せっかく海来たんだから遊ばないとね」



ちょっと琉生に悪いと思いながらも相手のペースにどんどんついていってしまう。



アタシよりちょっと大人で引っ張っていってくれて、それに優しくてノリもいい。



正直、微妙に惹かれてしまった自分がいる。



何もかもが開放的になってしまった事を夏のせいにする自分に情けなさを感じた瞬間だった。





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