【長編】JEWEL BOX
駅前
「ちょっとはやく着過ぎちゃったかなあ」


ケータイの画面を見ながら独り言。


でも、もう7時半。
約束した時間なんだけどなあ。

「ハァ…陽菜…チャン?」


「晴流クンっ、大丈夫!?走って来たの!?」


「ちょっと、
行きたいとこがあったからね」

「ほんとぉに大丈夫?」


「うん、もう平気」


膝に当てていた手をポケットに運んだ晴流クン。

「えーっと…あった」



なにがだろ?

「手だして?」


そう言った晴流クン。

わたしは手を出した。


「あっ」


わたしの手の平にコロンと、落ちてきたのはーー

「指輪…?」



< 19 / 37 >

この作品をシェア

pagetop