【長編】JEWEL BOX
部屋の前まできたけど…。
この扉、重く感じるなあ。

…………。

よしっ。


ドアを開ける。


そこには、晴流クンが居た。

「陽菜チャン…」

「あ……」

謝るべき?
でも……

……いや…謝ろう。


「あの、晴流クン。
さっきは、ごめ……ひゃっ」

わたしは、晴流クンの腕の中だった。

「心配した」

え……?

わたし、あんなにヒドいこと言ったのに。

許してくれる?


「晴流クン…
わたしは、晴流クンのこと大嫌いなんかじゃないよ。
大好きだよ?」


「うん。
俺も陽菜チャンのこと大好き」


「う…ん……」


自然と、
頬を伝い落ちる涙。

うれしい。
仲直りできたよ。


「うぅ…うわああん」

と、子どもみたいに泣き出すわたし。


「知弦になんか言われた?」


「あ、うん、別れろって」


「俺は、陽菜チャンと別れる気はない」


「わたしもないよっ」



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