散文

協調性

幼稚園がキライだった。


気を使うんだもの。




私は転入した。年中さんだから4歳かな。

友達とかできなくて。でも平気。私は一人遊びが好きだったから。外ならブランコ、内ならお絵描き。



その日も一人でブランコを楽しんでいた。


そしたら、同じクラスの子が誘いに来たの。一緒に鬼ごっこしよう。


そんなかったるい遊びはしたくない。


だけど断れない。
だって彼女は『親切』だったから。
人数が足りない訳じゃない。ただ、『虚しく一人ブランコに揺られる可哀想な転入生』を、『仲間に入れてあげようと誘う』親切な人。



仕方ないから、ブランコは諦めた。
楽しいふりした鬼ごっこは、つまんなかった。



苦痛だったな、幼稚園。
変な気苦労の記憶が多くて。



大人から見たら、私は協調性があったのか、なかったのか。考える。


客観的に見たら、友達と遊ぶ良い子。



内面?

協調性なんか欠片も持ってなかったけどね。



教育ってなんだろうね。こんな幼稚園児でも表面上は仲良くしてりゃ、歪みがない子とと判断してもらえたしね。



ああ、それにしても、親切の押し売りをしたあの子はさぞかし立派になっているのでしょうね。


名前も顔も覚えてないけれど。
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