隣に居させて [短編]


うつむいて、小走りで玄関を出た私は止まってしまった。



「…ヒロ君…!?」





「おっせーよお前。どんだけ掃除してんの…―って…どうした!?」





「え…何が…っあ!」



私は慌ててタオルで頬を隠した。
ヒロ君が居たことに驚いて、手を下ろしちゃったから。



「い、いや、これは何でもないのっ!それより、なんでヒロ君こそここに…?」



もしかして、私のこと…?



「…別に!奈都のこと待ってたわけじゃねぇし!」



「あはっ。わかってるよ、そんなことっ!」



だよね…。
わかってるけど、今はちょっときついかも。



「じゃあ、またねっ!」



少し、泣きそうだったから、早く帰りたかった。のに













「俺も帰る。」



「…え?でもなんか用事…」



「―っいいんだよ!俺が帰るっつってんだから!」



あれ?ちょっと怒った?



「あ、ご、ごめんね?」



そうして一緒に帰ることになった。



一緒に帰るなんて…いつぶりだろう?


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