隣に居させて [短編]
「なぁ奈都。お前制服も汚れてるぞ。何があったんだよ」
「いや、だからなんでもないって!ただ…転んじゃっただけだよ!」
「…嘘言ってんじゃねーよ。俺が気付かないと思ってんの?」
ヒロ君は歩きながら、まっすぐに私の目を見てくるから、何も言えなくなっちゃって、ただ目をそらしちゃった。
「奈都…誰にやられたんだよ。」
そう言ったヒロ君の顔が、本気で怒ってるような気がして…
「ヒ…ヒロ君?私…大丈夫だから…。ねっ…?」
笑うとちょっと頬が痛いけど、いつもの笑顔を作ってみた。
「……じゃねぇの…」
「え…?」
「ばかじゃねぇの?お前」
「え…ヒロ君…?」
「それ…。誰かにやられたんじゃねぇのかよ!」
「えっと…その…っ」
なんて言えばいいの?
ていうか、なんでこんなに怒ってるのっ?
「誰かに殴られて、笑ってるなんて…頭おかしいんじゃねーの!?」