隣に居させて [短編]
「―……っ」
泣くつもりなんて
なかったのに。
次から次へと溢れてくる涙。
ぽたぽたと落ちてはアスファルトに染みを作る。
「―は!?奈都…お前泣いて…!?」
ヒロ君が気づいた瞬間に慌ててタオルで顔を隠す。
大嫌い。って言われたばっかりなのに、私の頭に浮かぶのは『嫌われたくない』の一心。
「あ、これは何でもないのっ!
この涙は間違いだから!」
そう、間違い。
こんな涙、流すつもりなかったし。
嫌われてるのなんて、随分前から知ってた。
涙はどんどん出てくるのに、声と表情は必死に笑顔を取り繕った。