隣に居させて [短編]
「―んっ…ぁ…っはな…してっ―」
逃れようとしても、手は掴まれてるし、顔を背けても意味がない。
やだ。怖い 怖い…。
こんなことするなんて…。
自由にならない手と、逃れられない恐怖でまた溢れ出す涙。
「…はぁ…は…」
突き飛ばすように離されて、ようやく自由になる体。
私がヒロ君を見ると、冷たく笑いながら嘲るように
「なんで笑わないの?
その涙も間違い、なんでしょ?」
と言われた。
心を、ぐしゃっと潰された気がした。
私は、何もわかっていなかった。
ここまで本気で嫌われていたなんて。