隣に居させて [短編]
「……ごめんっ」
そう言うだけで精一杯だった。
謝る理由がわからないけど、何故か口から出てきた。
うざくてごめん。
泣いてごめん。
ヒロ君にそこまでさせちゃってごめん。
気付かなくてごめん…。
そして私は震える手でタオルを掴むと、家と反対方向に走り出した。
家に帰りたいんだけど、それはヒロ君の帰り道でもあるから…。
ヒロ君が見えなくなるまで走って走って。
追いかけてくるはずなんてないのに、少し後ろを気にしちゃったりして。
やっと人通りも少ない道に着くと私は置いてあるベンチに座って泣き崩れた。