隣に居させて [短編]
「素直になりなって〜♪」
こんな人たちの前で泣きたくないのに、涙が一筋零れる。
「いいね〜その表情♪でも、今度からは彼氏以外の前で泣かない方がいいよ?」
私の頭を掴んで、にやにや笑いながら言う。
「彼氏なんかじゃないっ!」
ヒロ君は…彼氏なんかじゃ…。
「そうなの?ま、いいや何でも。」
そう言って、近づく顔。
さっきのこともあって、私は震えが止まらない。
必死に抵抗して顔を背けていると
「大人しくしろっつってんだろ!?」
と、ベンチに押し倒された。
「…きゃ!―やだ…誰かっ…」
叫びたいのに、声が震えて叫べない。
もう、無理だ…
「誰も来ねぇっつーの!」
下品に笑う声が聞こえる。
私は諦めてぎゅっと目を瞑った。