隣に居させて [短編]
私はベンチから起き上がって、恐る恐るヒロ君に聞く。
「なんで…?ヒロ君…」
絶対来ないと思ってた。
もう無理だって諦めたのに。
助けてくれちゃうなんてずるい。
「…帰るぞ」
ヒロ君はそれだけ言って歩き出す。
私も必死に立ち上がろうとするんだけど、震えてるし腰抜けてるし最悪な状況。
「…先帰ってて。」
立てない、なんて情けなくて言えなくて。
「はぁ?何言ってんだよ。ほら」
ぱっ と手を掴まれたんだけど、咄嗟に振り払う。
震えてるの、ばれちゃう…。
「…あ、ごめ…」
えへへ と笑ってみせる。
すると、「はぁ〜。」と大きくため息をつくヒロ君。
それを聞いて、また胸が苦しくなって。
「ごめんね、助けてくれたの…」
なんとか、機嫌をとろうと出した言葉がいい終わらないうちに…
「…ぇ…」
ヒロ君は私をぎゅっと抱きしめた。