隣に居させて [短編]
「…ヒロ君はもう…やったじゃんっ」
また震える手と声。
逃れられない恐怖。
「私だって、にげたかったけどっ…。腰抜けちゃって立てなくて…。あはは…ほんと情けないっ」
ヒロ君に抱きしめられたまま、涙がぽたぽた落ちる。
「…大っ嫌いな私のことなんて、助けなくてよかったのに…。
私が襲われたって、関係ないじゃん…!なのに、なんで…っ!」
そこまで言ったら、更に強く抱きしめられた。
「…黙って。」
「―っ離してよ…!これ以上…ばかにしないで…っ」
すり抜けようとしても、きつく抱きしめられて身動きがとれない。
ヒロ君の気持ちがわからなくて、どんどん混乱していく頭。
「…無理に決まってんじゃん。」
え!?何を言ってんの?ヒロ君
無理って…何が?
離すことが?
あ。わかった。
「またそうやって、私をはめるんでしょ?…それが楽しいんだもんね。私が…っ」
どんな気持ちで笑っているのかなんて、わからないくせに!
そう言おうとしたら