トライアングル。
「わ、すごぉい。
由乃ちゃん器用だね。」

「そんな事ないよ。」

林檎の皮は
全く途切れる事なく続いている。

剥き終えて切り分け、種を取る。

持ってきていたお皿に移し、
爪楊枝を刺した。

「はい、どうぞ。」

「ありがと。」

シャクシャクと心地の良い音。

「美味しい。」

朋希は笑顔になった。

由乃は朋希の笑顔が好きだと
初めて思ったが、
口には出さなかった。

美佑が朋希を好きな事位、
見ていて感じ取れたからだ。

女の勘という奴である。
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