トワイライト
 だから僕はむしろ瞳子、君には安易に『施設出身』だからってだけで、人を差別なんかして欲しくはないんだ。

 それは瞳子、ひいては君のご主人である崇晃君をも否定する事にもなるんだからね」
 と言われて瞳子は複雑な表情になった。

「……」

 この時瞳子は日向の言葉を聞きながら、再びこうして理子と出会ってしまった事に対する運命の皮肉に半ば愕然とした。

 一方理子にしてみても瞳子に会って少なからず心の動揺が隠せなかった。

 だがしばしの沈黙を破り
「社長まもなく会議のお時間ですが」
 と理子は腕時計に目をおとしながら言った。

「ああ、理子君そうだったね。じゃあ早速会議室に移動しょうか。瞳子そう言う事だからさっきの件は後日改めてって事で良いかな?」
 と日向が言うと

「ええ。では伯父さま宜しくお願い致します」
 と言って瞳子は深々とお辞儀をして社長室を後にした。
< 13 / 60 >

この作品をシェア

pagetop