トワイライト

　続いて深刻な話題から一変して美有と慎也が他愛もないおしゃべりに夢中になっている時だった。この前美有を有と間違えた町村と言う男が二人の男と話をしながら店に入って来た。　

「あっ、慎也。この前私を有って人と間違えた人達だわ」

「えっ？！本当か？」

「シっ！相手に解らないように顔をなるべく伏せていて」
　と美有が言った。

「ねえ。とってもラッキィだわ。あの人達の話をこっそり盗み聞きしましょう。こんな事滅多にないチャンスだもの」

「ああそうだな。ホントグーゼンだよな。こんな事ってあるんだ」
　と慎也は小声で言った。

「シっ！なるべく声を出さないように雑誌を読んでいるフリをしてお話を聞き逃さないでね」
　と美有は慎也に念をおした。

　すると三人は運良く美有達の丁度後の席に座った。見えたとしても一度も面識がない慎也の顔だけなので相手に気づかれる心配はない。