トワイライト

「そうですか……」

「あっすみません私。この後予定がありますので失礼させて頂きたいのですが」
　と田内が席を立とうとしたので美有は素早く伝票を手に取り

「あっ、ココは私達がお支払いしておきますのでおかまいなく」
　と言うと

　田内は『ごちそうさまでした』と言って丁寧にお辞儀をして店を足早に出て行った。

　こうして美有と慎也の二人は田内から有の事を聞いているうちに新たな有に関しての新事実が解ったのである。

「う～ん。やっぱり聞いてみないと解らないものねー。有さんが乳児院から引き取られた後に夏目夫妻に実の子供が生まれてたなんて。ねえ、慎也これってどう思う？」

「そおだなー。難しい問題だよな。この場合って。分け隔てなく育ったのならば問題はないけれど、この事によって親と子側のどちらかに心の歪（ゆがみ）が出来きてた場合はどうなんだろう？」
　と二人はしばしボーゼンとしてしまった。

「あっ！こんな事してる場合じゃないんだわ。次は伊吹隼人さんに連絡を入れないと」
　と言って美有はさっきメモ書きした番号を見ながらケータイにその数字を打ち込んでいった。