ロザリオとアイアンメイデン
その機会は思いがけないかたちでやってきた。
「君がルーシーか?」
ある日、沢山の勲章で飾られた軍服を身に付けた初老の男が、白衣を身にまとった、研究者らしき男と、私の部屋へやってきた。
「ここへ来てどのくらいになる?」
「……二ヶ月」
「ふむ。毎日うなされているそうだね。母親と弟を亡くしたとか……」
「……」
黙り込んだ私の目を覗き込み一人頷くと、軍服の男はあごひげを撫でながら白衣の男に何やら目配せをして、再び私の方へ向き直り口を開いた。
「神父の祈りも拒んでるそうだね……なぜだ?」