ロザリオとアイアンメイデン
そこまで言うと男はくっくっと喉を鳴らして笑った。
「私のほかにも……いるのか?」
「ああ、そうだ。数年前からこの計画は実行されている。すでにもう戦場に出ている守護天使が三体。それと、君とほぼ同時にもう一体完成したばかりだが、こちらはまだ覚醒待ちだ。君は四体目の守護天使になったわけだよ。無論、前例よりも研究を重ねているからね、君はまさに最高傑作だよ、ルシフェル」
男は私を『ルシフェル』と呼んだ。
それが、私の新しい名。
「成功したサイバノイドには個別に天使の名前が付けられる。ロマンティックだろう?」
そう言って笑う男の顔に何故か嫌悪感を覚えて、私は目を逸らして自分の腕を見つめた。
見たところ、普通の人間となんら変わらない。男が施したという人工皮膚とやらは本当に良く出来ていて、見た目も触感も本来の肌と何も違わないように思える。