ロザリオとアイアンメイデン
――翌日、私は軍用車に乗って国境沿いの村へ向かっていた。
初めての任務は、国境沿いのある村が敵国に占領されているという情報から、その村へ出向き、村にいる敵の小隊を殲滅せよ、というもの。
「一人でも十分だろうが、初めての実戦だからね」
そう言って爬虫類男は、私に五名ほどの兵士を同伴させた。
村の近くまで来たところで車を止め、村を囲む林から徒歩で目的地まで向かう。
「民間人はもう残っていないから、思う存分やっていいそうだよ」
出発前、様子を見に来た爬虫類男が、いつもの笑みを浮かべそう言った。
科学者というものは皆こうなのだろうか?
彼は見るからに自分の研究の成果にしか興味がなく、その成果である私が今から人を殺すというのに、そのことに対してなんの罪悪感すら感じられない。
相手が敵だからという理由ではないだろう……