ロザリオとアイアンメイデン
「撃つな!! あれは……」
私が声を上げる間に、銃声を聞きつけたのだろう。
奥の民家から武装した敵国の兵が飛び出し、小屋からは、地面に倒れた小さな子供の母親らしき女が悲鳴をあげて飛び出してきた。
「敵だ!!」
私の後ろで誰かが叫び、皆が一斉に銃を構える。
小屋からはさらに倒れた子供の兄弟だろうか、小さな子供が二人、母親を追って出てこようとしているのが見えた。
4人の民間人がちょうど自国と他国の兵に挟まれるかたちになったのだが……
至近距離で再び空気を切り裂く破裂音が鳴り響く。
二度目の発砲。
私の背後から銃弾は容赦なく放たれた。