ロザリオとアイアンメイデン
最後の力をふりしぼり、倒れた子供の方へ這うようにしてもがく母親の姿を目にした瞬間に、あの日の光景が脳裏に鮮明に浮かび、私は無意識のうちに背中の鞘から、剣を抜いていた。
「何をするっ!!」
悲鳴に近い声を聞いたのが最後。
胸の奥底から湧き上がり、世界から私を遮断しようとでもいうかのように瞬く間に広がっていく暗い闇。
それに飲み込まれ、私の思考はそこで途切れた。
親も兄弟も、もういない。
あるのは冷たい鉄の身体だけ。
私は、アイアンメイデン――