ロザリオとアイアンメイデン



「……ぁ……まま……ぁぁ」



 不意に、小さな泣き声が聞こえた。

 その声が私の呪縛を解いてくれなければきっと、もっと長い間そのままの状態から解放されなかったろう。

 意識を引き戻してくれた声の方へと恐る恐る耳をすます。

 先ほどの銃撃戦で倒れた母親の方から泣き声は聞こえてきた。

「――っ!!」

 弾かれたように立ち上がり、剣を投げ捨て、私は声のほうへ駆け寄った。
 
 息絶えた母親の体の下で、兄弟の末っ子だろうか、レンよりもまだ小さな男の子が泣いている。


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