ロザリオとアイアンメイデン
「あの子を頼みます。私はここにいるべきモノではない」
このままここにいれば、この親切な牧師も、あの子供も面倒なことに巻き込んでしまう。
教会から出ようとする私に牧師が最後に尋ねた。
「そうだ、お名前をまだ伺ってなかった。教えていただけませんか?」
「……ルシフェル。神に背いた天使の名前だ……お似合いだろう?」
私が自嘲気味に告げると、牧師は曇りも揺らぎも無い澄んだ視線を私と合わせ、言った。