風の吹く町
可憐の家から出た後はその場で解散。
方向を訊くと、途中まで
渉と一緒だったので帰ることにした。
今はヘッドホンを外している。
尚翔は気になっていた事を訊いた。
「渉はさ、何で
学級委員になったんだ?」
「別になりたくて
なった訳じゃねぇよ。
くじ引きで当たったんだ。
七海の奴は立候補だけどな。」
「なるほど、じゃあ
そのヘッドホンは?」
「…あー、趣味。
音楽好きでバンドやってんだよ。」
「へぇ、バンドかぁ。
カッコいいな。」
「興味あるなら見に来いよ。
週末、先輩のバンドに
混じってライブやってるから。」
「解った。
でも、こんな時期に
バンドなんかやってて
受験大丈夫なのか?」
「親も先生も呆れて
何も言って来ねぇよ。
ま、志望校は山上(やまがみ)だし、
何とかなるよ。」
山上高校は、この地区で
最も入るのが簡単と言われる高校で、
評判もあまり良い学校とは言えない。
「俺、音楽で食っていくし、
丁度良いと思う。」
尚翔はその言葉に疑問を抱いた。
音楽で食っていく事は難しい。
それに、どんな仕事でも勉強は必要だ。
早いうちから諦めてしまっている渉に、
尚翔はこう言った。
「ふぅん…何かもったいないなぁ。
渉ならもう一個上狙えそうなのに。
朝あんなに勉強してるんだったら、
やってみる価値はあると思う。」
尚翔は渉をまっすぐ見つめていた。
方向を訊くと、途中まで
渉と一緒だったので帰ることにした。
今はヘッドホンを外している。
尚翔は気になっていた事を訊いた。
「渉はさ、何で
学級委員になったんだ?」
「別になりたくて
なった訳じゃねぇよ。
くじ引きで当たったんだ。
七海の奴は立候補だけどな。」
「なるほど、じゃあ
そのヘッドホンは?」
「…あー、趣味。
音楽好きでバンドやってんだよ。」
「へぇ、バンドかぁ。
カッコいいな。」
「興味あるなら見に来いよ。
週末、先輩のバンドに
混じってライブやってるから。」
「解った。
でも、こんな時期に
バンドなんかやってて
受験大丈夫なのか?」
「親も先生も呆れて
何も言って来ねぇよ。
ま、志望校は山上(やまがみ)だし、
何とかなるよ。」
山上高校は、この地区で
最も入るのが簡単と言われる高校で、
評判もあまり良い学校とは言えない。
「俺、音楽で食っていくし、
丁度良いと思う。」
尚翔はその言葉に疑問を抱いた。
音楽で食っていく事は難しい。
それに、どんな仕事でも勉強は必要だ。
早いうちから諦めてしまっている渉に、
尚翔はこう言った。
「ふぅん…何かもったいないなぁ。
渉ならもう一個上狙えそうなのに。
朝あんなに勉強してるんだったら、
やってみる価値はあると思う。」
尚翔は渉をまっすぐ見つめていた。