風の吹く町
七海は思っていた。

今でも彼は猫を
愛してやまないんだな、と。

七海自身も、昔犬を
飼っていた事があった。

けれど、病気になって
死んでしまった。

七海は当時、犬が死んだのは、
自分のせいだと責めていた。

世話をしてやらなかった事も
あったからだ。

けれど、それは違った。

犬が死んだのは、高齢である事も
関係していたのだった。

それを聞いた七海は、
不思議と納得出来た。

それから七海は何匹も
ペットを飼ったが、
その犬を忘れる事はなかった。

今は世話も欠かさずやっている。

彼も同じように猫に愛情を
注いでいるのかもしれない。

七海は勝手にそう思った。
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