風の吹く町
尚翔と別れ、七海と可憐は
帰りながら尚翔について話していた。

「…ねぇ、可憐は
尚翔くんの事どう思う?」

「尚翔くん?」

「今日話してみてどう思った?」

「うーん、
猫が好きなのは共感持てたかな。
七海は?」

「…あたし、尚翔くんの事、
好きみたい。」

「へぇ、七海が?」

七海は元々恋愛には興味を持たない。

男子はばか騒ぎをする
相手でしかなかった。

「失礼ね。」

七海は可憐にパンチを
する真似をした。

「だってそうじゃない。
いつだって七海にとって
男の子は口喧嘩の相手。
だから珍しいなって思ったの。」

「あたしだって…
こんな自分に戸惑ってるわよ。
恋愛なんてまともにした事ないし、
こんな気持ち初めてなんだもの。」

「それでいいんだよ、きっと。
その気持ちを少しずつ温めて、
自分磨きをいっぱいして、
尚翔くんに気持ちぶつけてみれば?
最終的には彼が判断するんだから。」

「そうだね。
…うまく行けば良いなぁ。」

「ファイトだよ、七海っ。」

可憐は七海を応援した。

「うん。」

この時点では解らなかった。

のちに可憐が尚翔を好きになる事。

それはすなわち2人が
ライバルになるという事。

今はまだ、お互いに
気づいてはいないけれど。
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