風の吹く町
困り果てていた所に、
ちょうど尚翔が通りかかった。

洋祐に借りていた教科書を
返しに来たのだった。

割と尚翔は背が高い。

「ねぇ、尚翔くん。」

「ん?」

「これ、消せる?届かなくて。」

「あぁ、いいよ。ちょっと待って。」

尚翔はそう言うと、
杖の片方を教卓に立て掛けて、
黒板の上の方を消した。
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