風の吹く町
少しの甘さと、
ちょうどいい苦さが口に広がった。

「…おいしい。」

「本当?良かった…。」

「これで受験も乗りきれそうだよ。
サンキューな。」

「うん、受験頑張って。
応援してるから。」

その時だった。

「そうだ、チョコのお礼。」

「え?」

尚翔は首を傾げる可憐に
そっとキスをした。

「ナオ…。」

キスの味はもちろんチョコ味。

しかも少しだけ苦い。

「…チョコ食べたばっかだから、
少し苦いかもしれないけど。」

「ううん、最高のお返しだよ。」

「良かった。
さて、帰りますか。お姫様。」

「えぇ~っ、
その呼び方恥ずかしいよ。」

「いいの、可愛いから。」

「もぉ。」

可憐は呆れてクスクス笑い始めた。

それから、2人で並んで帰った。
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