エージェント・レイ‐狂人の島‐
土地勘があるというのは、こういう時に役に立つものだ。

おば様は迷う事なく港の出口を見つけ、更に歩く。

私は彼女の後に従った。

長年住んでいるというのは、こんな時は強みである。

きっと灯り一つない深夜でも、おば様は難なく目的地に辿り着く事ができるのだろう。

少し頼もしく思える。

やがて、ぼんやりと霧の中に建物や街灯のシルエットが見えてくる。

市街地に入ったらしい。

「ほらね」

おば様は軽くウインクして見せた。

「この島の地図は頭の中に入っているんだから」

そう言って彼女は自分の頭を指差し。

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