エージェント・レイ‐狂人の島‐

chapter2

にじり寄る。

群がる。

押し寄せる。

常軌を逸した群集が、私たった一人に掴みかかってくる！

「い、いや…」

後ずさり、私は逃れる。

ガクガクと震える膝に鞭を打ち。

「いやぁあぁあぁっ！」

私は振り向いて走り出そうとして。

「っっっっ！！」

いつの間にか囲まれている事に気づく。

背後にも迫ってきていた、白濁した眼の集団。

手にするのは、ナイフ、鋸、手斧。

「！！」

どこかで凶暴なエンジン音が聞こえた。

スターターを引っ張る音。

木材伐採用の、チェーンソーの始動音だった。