エージェント・レイ‐狂人の島‐
「あんた…この島の人なのかい…?」

男性が言う。

「いえ…生まれはここですけど…今日里帰りしたばかりなんです…そうしたら…」

私が答えると、男性は目を閉じて苦笑いした。

「ついてなかったな…この島はもう駄目だ…正常な人間なんて何人残っているか…」

私は…冷酷かもしれない。

この男性が死ぬ前に、この島で何が起こっているのかを聞き出しておきたいと考えていた。

「何があったんですか?島の人達は何故、あんな暴徒化してしまったんですか?」

「がっ…!」

私の質問に、男性はまたも喀血する。

もう質問に答える体力は残っていないのか。

私は彼を看取る事しかできない。

だけど。

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