エージェント・レイ‐狂人の島‐
実を言うと。

しばらく歩いていて思い出したのだけど、私はこの細くて狭い路地を知っていた。

この島は私の故郷だ。

何年も、大して人の手が加えられる事なく、ひっそりと人々が生活を続けてきた田舎の孤島。

街並みもさして変わる事はない。

私が幼い頃に住んでいた時から。

この狭い路地も、私が子供の頃に探検がてら行き来していた時と変わっていなかったのだ。

私が成長して、背丈が伸びてしまったせいで、路地も狭く細く感じるようになってしまったので、しばらくの間、幼き日に通ったあの路地だと気づかなかった。

…記憶を取り戻してしまえば、後は道順も思い出せた。

子供の体格で通り抜けられる路地なので、成長した今の私では少々通行に難しい箇所もある。

ダイエットに励まなければ、などと思いながら、私は路地を進んでいった。


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