エージェント・レイ‐狂人の島‐
署内に入る。

…まず感じたのは、署内の薄暗さだった。

明かりが全て消えている。

まだ昼間だというのに、明かりがないとこうも暗いものか。

…電話線同様、火事や交通事故などの影響で、電気も断線しているのかもしれない。

希望を抱いて署内に駆け込んだ私は、その胸の中の望みが一気に消沈していくのを感じた。

静か過ぎる。

人の気配というものがない。

この島に私以外の生き残りがいるのならば、絶対にこの警察署に逃げ込む筈。

それがこうも静寂に包まれているという事は、やはりもう生存者は私だけなのだろうか…。

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